老後資金が不安
- 2025/01/28
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「老後2000万円ないと破綻する」とよく聞きますが、現在58歳でまだ働いていますが、親の介護のために自分の退職金も前借りしてしまっているので、そんなに貯められる気がしません。
年金制度があるのに、どうしてそんなにたくさん蓄えなければ老後が不安なのですか?
回答者からの回答
しばしば耳にする「老後2000万円」とは、2019年に金融庁の「市場ワーキング・グループ」が発表した報告書によると、高齢世帯の平均所得(可処分所得)と平均支出との差額が毎月おおむね5.5万円であるため、12ヵ月で66万円の赤字。30年間で1980万円すなわちおよそ2000万円の赤字になるという予測から、言われはじめたことです。
しかし、この「平均可処分所得」には厚生年金加入者も国民年金のみの加入者も、あるいは年金原資を積んでいなかった人も混じっています。「平均支出」には持ち家の人も家賃支払いのある人も混在しています。
つまり、まず冷静に考えるべきことは、「全員が総じて2000万円足りなくなるわけではない」ということです。
私は、FPとしてアドバイスを求められた場合には、病気療養などが始まるまでの日常生活においては、「なるべく年金収入でマイナスにならない範囲で生活すべき」とお伝えしています。とはいえ、ずっと自営業で国民年金だけの場合、ご夫妻合わせても月収が15万円を切りますから、持ち家でない場合は、そうとう生活は厳しいと思います。
厚生年金の加入時期が一定以上あり、ご自宅のローンも終わっていて修繕費も当面かからない場合は、入ってくるお金の範囲で生活し、退職金などある程度のご資産は、将来入院や介護が必要となった場合に備えてなるべくキープしておくようにすれば、あまり懸念しなくてもよいのではないかと考えます。
なお、総務省の家計調査年報によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)について、可処分所得と平均支出との差額は、2021年には「18,525円」にまで下がっています。
「老後2000万円問題」という言葉が流布して皆さんが節約をなさったり、コロナ蔓延防止のために旅行を控えるなどされてきた結果、「55,000円の赤字」はここまで圧縮されたのです。
大事なことは、平均値にまどわされず、総務省家計調査年報の棒グラフ(下記の動画中に引用しております)に書かれている食費や被服費、住居費と比較し、ご自身の食費や被服費、住居費がどうなっているのか? を検討し、節約すべき部分を見きわめてゆくところだと思います。
🔷縁空公式の動画では、こちらで解説しております。
(総務省家計調査年報のグラフも、2017年と2020年、2021年のものを掲載しております)
https://youtu.be/KROVimCrxqA?si=C5Dqo4hzICvjwTUe
2025/01/29

縁空のオケイ/勝 桂子
グルテンフリー歴8年(^^♪