子のない伯母の死後事務について
- 2025/01/28
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私の伯母には子どもがなく、夫も先に亡くなっていて独居です。認知症などの心配は当面なさそうなのですが、85歳を超えているので、そろそろ死後の手続きなども心配になってきました。
いとこは何人かいますが、私だけが近年も伯母と行き来しているので、私がとりまとめ役になるしかないかなと思っています。どんなことに気をつけ、何を準備しておけばいいですか?
回答者からの回答
伯母さまの相続人は、伯母さま自身のごきょうだい(亡くなっているきょうだいについては、その子たちが代襲相続人となります)となりますので、疎遠なかたがいれば、相続発生時に連絡がつくよう努力します。
お子さんのいらっしゃらないかたが遺言書を作成されることなく亡くなった場合、預金通帳の解約や、ご自宅不動産を売却したりするには、ご本人のみならず、ご本人の両親が生まれた頃の戸籍まで遡って収集しなければならないため、膨大な手間と費用がかかります。
そのため、いまから準備をされておくのは賢明なことです。
公正証書遺言を作成しておけば、亡くなったことを示す最新の戸籍1通で手続きを済ませることができるようになりますので、可能であれば公正証書遺言の作成をおすすめしてみましょう。
※費用を抑えたい場合には、「自筆証書遺言の預託制度」(指定法務局に預ける制度)を利用することもできます。ただし、形式についてのチェックはひととおりしてもらえるものの、内容についてのアドバイスはもらえないため、内容についてはあらかじめ、専門家に相談したほうがよいでしょう。この制度を利用するには、遺言者本人が、預託制度を法務局へ出向く必要があります。
認知症の発症が懸念される場合は、任意後見契約を結ぶことも視野に入れます。
遺言と同時に公証役場で相談できますので、まずは「ひな形」を見せてもらって、引き受けられそうかどうか検討してみましょう。弁護士や司法書士などの専門家に任意後見人になってもらうこともできます。
とはいえ、財産のことはあまり積極的に語りたがらないかたも少なくありません。
もともと信頼関係が築けていればよいのですが、久しぶりに行き来するようになった場合などは、昔のことを語っていただくなどして、まずは関係を深めることが大切です。
「伯母さんが若いころの日本はどうだった?」など、社会全体を視野に入れた話や、好きだった映画や本、俳優についてなど、元気だったころ、楽しかったころの思い出をたくさん語っていただきましょう。
そうすることによって充分な信頼関係が築けたあと、必要な事務手続きや、資産の話を聞いてゆくのがよいと思います。
とりわけ、マイナスの資産についてきちんとうかがっておくことが大切です。
「家のローンも車のローンも終わっているから借金はない」とおっしゃっていても、コピー機をリースしていて死亡と同時に残債の一括払いを求められたなど、日ごろは負債という意識がなくても、多額の支払いが残っていることもあります。事業をしていたかどうかなど、自然な会話のなかで尋ねてみるのがよいでしょう。
細かい背景をうかがっていませんので、あまり具体的なアドバイスに至りませんが、市区町村で士業の無料相談会を開催していることもありますので、そうした機会も利用して、少しずつ必要なことを見極めてゆかれるとよいと思います。
2025/01/29

縁空のオケイ/勝 桂子
グルテンフリー歴8年(^^♪