以前は長男夫婦などが親世代と同居するのが一般的だったため、長男夫妻は夫側の親の墓に入ることが多かったですが、近ごろは状況も変わり、結婚していても妻だけ別の個人墓（永代供養墓）や納骨堂を選ぶというケースも増えてきています。
しかし配偶者（妻からみて夫、夫からみて妻）は、死後に同じ墓に入れないことを悲しむかもしれませんので、年月をかけてご自身の思いを語り、話し合いを重ねて理解してもらうことが重要と思います。
仏教的には分骨も可能です。お釈迦さまのご遺骨である仏舎利は世界各地に存在しています。じつは仏教では、御魂が遺骨に宿っているとは考えません。お位牌や墓石に入魂しますので（ただし浄土真宗では、御魂として漂うことなく阿弥陀様が救ってくださるので即時に成仏すると考えます）、複数の場所に入魂することはもちろん可能です。最近は、自宅に置いても遺骨が入っているとは気づかれないような手元供養品もたくさん販売されています。
御魂は遺骨に宿るわけではないと割り切れれば、ご主人の実家のお墓に分骨くらいは検討してもよいというお気持ちになれるかもしれませんね。親族がふだん墓参しているお墓とは別の永代供養墓や納骨堂へ納骨してもらう、あるいは海洋散骨などを検討されるときには、小さなお位牌を自宅に置いてもらうなど、遺された親族が望むときに手を合わせられる方法を検討できれば、ご納得いただけるのではないでしょうか。

2025/01/21